YASARA : 今日のエクスペリメント「Neutralization」

2020年10月22日木曜日

【YASARA】

t f B! P L

Experimentの Neutralization を使用することで、セル内にイオン(Na+, Cl-など)を追加し電荷を中和したり、Asp、Glu、His、Lys残基のpKa値を予測したりすることができます。

 

pKay予測の際、入力したpHに基づいて、アミノ酸残基のプロトン化状態を割り当てます(pHに-1をセットし、この処理をスキップすることも可)。

具体的には、予測されたpKaがpHより高い場合は、AspとGluはプロトン化、また、予測されたpKaがpHより高く、かつ水素結合を形成しない場合、Hisはプロトン化され、それ以外の場合は脱プロトン化されます。pHが8.7より大きい場合、Cysは脱プロトン化されます。予測されたpKaがpHより低い場合、Lysは脱プロトン化されます。

なお、TyrとArgは、力場にパラメータがないため、そのような変更は行われません。


また、エクスペリメントNeutralizationの実行には、周期境界条件が必須です。予めセルを定義している場合は、

Simulation > Cell boundaries > Periodic

を選択し、セルの境界条件をPeriodicにします。セルが未定義の場合は、エクスペリメント実行時に自動的に設定されます。


さらに、NOVA(自己パラメータ化力場)のようなimplicit solvent(陰溶媒)にも対応していないため、Amberなどexplicitモデルの力場を用いる必要があります。


実行例


1. 先ず、PDBファイルを読み込みます。ここでは、CXCL12(PDB:4uai)を例として用います。

File > Load > PDB file from Internet

を選択し、PDB IDに4uaiを入力しOKボタンをクリック。

2. 続いて、力場を設定します。この例では、デフォルトのNOVAからAMBER14へ変更することにします。

Simulation > Force Field

として、Force fieldリストからAMBER14を選択し、「OK, and if a force field is selected above, also set its default parameters」ボタンをクリック。

3. エクスペリメントの準備と実行

Options > Choose experiment > Cell neutralization and pKa predictions

を選択すると、次のダイアログが表示されます。



a) 予測pKaを保存するファイル(拡張子.pka)
b) カチオンとアニオン(デフォルトはNa+とCl-)、イオン質量分率(%)
c) pH入力値、水の密度(g/ml)
d) 「Density must match precisely」、または「Density not very important now, cell will be rescaled later」

この例では、予測pKaファイル名にpredict_ph4.pkaを、pHに4.0を指定、それ以外はデフォルト値を指定し、OKボタンをクリックします。

以上の操作で、計算が開始されます。

計算終了後に出力される予測pKaファイル(テキスト形式)は、次のような内容になっています。




配置されたカウンターイオンの座標は、次のようにして水分子を非表示にするとわかりやすいです。

View > Hide atoms > Atom

を選択、ダイアログのBelogs to or hasリストの中からWaterをクリックしOKボタンをクリック。

または、コンソールからHideAtomコマンドを実行。

> HideAtom Water



*上の画像は、上記に加えて、"BallObj Water"を実行しています。

また、複数タンパクでプロトネーション等の違いを確認するには、Compareコマンドを利用するとよいです。

 

サンプルマクロ


このエクスペリメントの動作については、ExperimentコマンドExample 2の説明が参考になります。ここには、次のサンプルマクロファイルも書かれています。


# EXAMPLE Experiment Neutralization
# Requires YASARA Dynamics
# IMPORTANT: Look at the *.pka result file for further details and hints.
Clear
LoadPDB 1crn
Style Ribbon,Stick
# Mutate one arginine to glutamate, net charge is now -2
SwapRes Arg 17,Glu
Clean
Cell Auto
ForceField AMBER96
Cutoff 8
Boundary periodic
# Prepare neutralization experiment
Experiment Neutralization
  # Fill the cell with water at a density of 1.0 g/cm^3
  WaterDensity 1.0
  # And NaCl ions with 0.9% solvent mass fraction
  Ions Na,Cl,0.9%
  # Protonate ionizable groups according to pH 7.0
  # (if set to -1, the protonation states will not be changed)
  pH 7.0
  # Save pKa predictions as dat/1crn_mutant.pka
  pKaFile 1crn_mutant
  # Finish quickly (final water density will be OK, but not exact)
  Speed Fast
  # If needed, a residue selection of vacuum in cell coordinates, where no water will be placed.
  # The following example keeps a 30 A membrane layer consisting of POP residues empty:
  # Vacuum LocalY>15 LocalY<45 and with distance<5 from POP
# Start experiment
Experiment On
# Wait till end of experiment
Wait ExpEnd


説明は少々くどくなってしまいましたが、操作自体は非常に簡単ですので、気軽に試してみてください。

※このエクスペリメントは、md_run.mcr等のマクロファイル内でも、必要に応じて適宜呼び出されています。


References


Fast empirical pK(a) prediction by Ewald summation.
Krieger E, Nielsen JE, Spronk CA, Vriend G.
J Mol Graph Model. 2006 Apr 25


Assignment of protonation states in proteins and ligands: combining pKa prediction with hydrogen bonding network optimization
Krieger E, Dunbrack RL Jr, Hooft RW, Krieger B
Methods Mol Biol. 2012;819:405-21


code-prettify

このブログを検索

ページビューの合計

人気の投稿

QooQ