タンパク質立体構造解析における「分解能(Resolution)」とは、その構造がどれほど細部まで正確に示されているか?を判断する指標です。
タンパク質は巨大で複雑な構造ですので、高分解能の立体構造データを得ることが困難ですが、分解能が3 Åほどあればペプチド鎖の輪郭を捉えることができ、分解能が1 Åあれば全ての原子を判別することができるとされています。
RCSB PDBの各タンパク質データのウェブページでは、「Structure Summary」タブの「Experimental Snapshot」及び同ページ下部の「Experimental Data & Validation」に、分解能が「Resolution: X.XX Å」という形式で示されています。
RCSB PDBに蓄積されている立体構造データのおよそ8割は、「Resolution :1.4~2.8 Å」であるデータとなっており、ペプチド鎖の構造はほぼ正確であると言えます。細かな原子の構造については、アミノ酸残基の種類から求められる電子密度の状態から推測されていると考えられるため、取り扱う際には注意が必要です。
ちなみに、この「PDB ID=7C2Y」は、COVID-19の主要タンパク質の立体構造を示しています。
RCSB PDBでは、タンパク質のキーワード探索後の画面左側「REFINEMENT RESOLUTION」のチェックボックスから、分解能(Resolution)の値を絞り込むことが」できます。是非活用してみてください。